特別な日のお支度とは

美容師として40年以上、多くの人生の節目に立ち会ってきました。

七五三、成人式、卒業式、そして結婚式。

その中でも、花嫁様のお支度は特別な時間です。

白無垢に袖を通し、綿帽子や角隠しを身につけた瞬間の表情。

ご家族様がそっと見守る温かな空気。

「おめでとう」という言葉とともに流れる涙や笑顔。

その一つひとつの場面に、私は何度も心を動かされてきました。

花嫁様のお支度は、着物を美しく着せる技術だけではありません。

着慣れない着物、長時間でも負担の少ない補整、美しい帯結び、日本髪や洋髪との調和。

それらを支える技術はもちろん大切ですが、それ以上に大切なのは、花嫁様が安心して一日を過ごせるよう心を配ることだと考えています。

技術は、本を読むだけでは身につきません。

実際に見て、触れて、繰り返し練習し、経験を重ねることで少しずつ受け継がれていきます。

私自身も、師匠の背中をみて、場数を踏み現場で学びながらの今日があります。

杠の花嫁レッスンでは、着付けや結い上げの技術だけではなく、花嫁さまへの所作や心配り、和装に込められた意味や、日本文化の背景についてもお伝えしています。

技術には理由があり、その理由を知ることで、一つひとつの仕事に深みが生まれます。

受講された美容師さんからは、「現場でしか学べないことがたくさんあった」「技術だけではなく、お客様への向き合い方まで学べた」という嬉しいお声もいただいています。

日本の美しい花嫁文化は、花嫁衣装を創作する多くの職人や美容師の技術と想いによって受け継がれてきました。

その文化を絶やさず、未来へつないでいくことも、私たちの大切な役目だと思っています。

花嫁様の笑顔のために。

そして、日本の美しい花嫁文化を次の世代へ受け継いでいくために。

これからも、一つひとつのご縁を大切にしながら、技術と心を伝え続けていきたいと思います。